フェードアウト 消失②

「フェードアウト 消失」をテーマに詩を書いて

Gemini版


輪郭の融解
​旋律が 少しずつ細くなっていく
指先から 色が滴り落ちるように
境界線は 曖昧なグラデーションへと溶け
確信だったものは 柔らかな疑いへと形を変える。
​不意に訪れる「終わり」ではなく
なだらかな坂を下るような 白昼夢の連続。
昨日までそこにあった椅子の感触も
名前を呼ぶときの 微かな吐息の熱も。
​遠ざかる残響
​耳を澄ませば まだ聴こえる気がした。
けれどそれは 記憶が捏造した羽音。
1デシベルずつ 世界から重力が奪われ
質量を持っていたはずの執着が
風に解(ほど)かれ 空(くう)を泳いでいく。
​消失のグラデーション
​消えることは 奪われることではない。
ただ 背景の色と等しくなること。
鮮やかすぎた季節が セピアを通り越し
やがて 眩しすぎるほどの透明に辿り着く。
​追いかけようとした手は
すでに 景色の一部になっていた。
​最後に残ったのは
何かがそこにあったという かすかな揺らぎ。
さよならの言葉さえ 音を失い
完璧な静寂が ゆっくりと、幕を下ろす。